Staging

コンサートの構成 / 演出

コンサートの構成や演出のご相談を受け付けます

〇コンサートってただ曲を弾くだけじゃダメなの?
〇そもそも演出って何?
〇ステージのお花代にびっくり!
〇コンサートを終えると疲労困憊
〇リピーターを増やすには?

と思われたあなたに、まずこんな質問から。

舞台関係の言葉に“上手”と“下手”とありますが、いったい何を表す言葉でしょうか。これはそれぞれ“かみて”と“しもて”と読みます。何となくどこかで聞いたことがあるかと思いますが、即座に答えられるひとはそう多くないかも知れませんね。答えは、舞台上の方向のことで、客席から見て向かって左を下手、右を上手といいます。上手(じょうず)なほうが右側に座るといった意味ではありませんので譲り合ったりしませんように(笑)。まあ、右側と左側でも良さそうですが、舞台側から見るのか客席側から見るのかでは逆になってしまい混乱するのでこのようになったそうです。由来は諸説ありますので興味のある方はググッてみてください。よっぽどのことがない限り、演者は下手側からデ(登場)ハケ(退場)します。したがって、照明などの操作盤があったり演者がスタンバイするのもこちら下手側で、楽屋もこちらにあることがほとんどです。では上手側は?ですが、こちらは何もなくガラ~ンとしていて、本当の意味での“裏”という雰囲気です(笑)。

ではもう少し難しい質問です。舞台に登場していくときにどちらの脚から踏み出すのが正解でしょうか?正解というよりはより効果的か?と尋ねたほうがいいかも知れません。あるとき、舞台経験豊富なお二人の方に別々に質問を投げかけてみました。そうしたら、お二人とも同じように「う~ん」と、やや今までの経験を思い出すふうに「私だったら」と出た答えがお二人とも同じで、しかも正解!でした。どちらの脚からがそんなに重要?と思われると思います。しかし、ある芸能のジャンルではもはや常識であるかも知れませんし、実際、心理学的にも、ひとが初めての物やひとを見る最初の1秒ないしは2秒間の印象は本人が思う以上に意識下に残るそうです。

今までにピアノの技術者として多くの舞台裏を経験し、ときに演奏者として舞台上のひとともなり、また、舞台美術のデザインや、自前や会場のPA(音響)セットを操ってステージ音響を担当したり、普通に客として舞台上のパフォーマンスを観聴きしてきました。言い換えれば舞台に複合的に3方向から関わって来たことになります。こうしてあらためて考えてみると、なかなかに珍しい人間かも知れません。そのおかげでたくさんの気付きやスキルの集積を持っていると言ってもいいのではと自分なりに思っています。以前こんなことがありました。あるアマチュアの方々の演奏会での調律のあと、リハーサルにも立ち会いながら、あー、あそこが勿体ないなぁと思うところが見えてしまったんです。演奏も溌剌としていて好感が持てるし、MCもいい感じだったのでなおさらでした。いちおうメンバーがお願いしているステージマネージャーさんがおられたので、僕はあえて黙っていました。ところがリハーサルが佳境に差し掛かってもその方は何も指摘されないままでした。きっと気付いていないのだろうと思い、たまらず機を見てアドバイスさせてもらいました。それに対して、皆さんにたしかにそうですねと言ってもらって素早く対応してくれました。ものの1分もかからずに出来る事でした。この例などはたぶん“演出”ほどのものでもなく、とても些細な修正だと言えるでしょう。どうしても本番は少しでも良い演奏をということにほぼ全てのエネルギーを注力されるあまり、想像以上に演奏の周辺事に目を向けられることが少ないのです。なぜ、ここまで“周辺事”にこだわるのか、以前体験したエピソードをお話しします。とある、ライブ会場だったのですが、会場受付で取り置きをお願いしていたチケットを受け取りに行こうと名を告げました。ところがその受付のスタッフさん、何かの手違いだったのでしょうか、見当たらずあたふたと探し始めたんです。幸い、事なきを得たのですが、このライヴ前のごたごたは自分でも思いかけず後を引きました。なんでしょう、招かれざる客というのは大袈裟かも知れませんが、とても残念な気持ちが残ったのは事実です。結果として、演奏者がどんなに最高のプレーをしたとしても“来て良かった感”は少なくとも1割減になった印象は否めなかったです。もしも後日、あの日こんなことがあってねーと誰かに言ったとします。聞いた人にはひょっとするとどんな演奏だったのか、よりも受付のごたごたのエピソードが強く印象に残るかも知れません。人間というのはそういうものです。はっきり言いますと、内容がいちばん大事なのは当然ですが、演奏前後の立ち居振る舞い、もしあればMCなど、その周辺のことは演者が思っている10倍かそれ以上はお客さんはしっかり見ていると考えておいて間違いないと思います。全部をひっくるめて“ハレの場”としての演奏会です。

これなどは本来の意味では演出の範疇ではないですが、開場の時間からのほんのちょっとした気遣いとアイデアの積み重ねがとても大きな効果(演奏前のドキドキ感が増す。CDがあれば買って帰りたい。公演の帰りにお友だちと盛り上がる。こんどのときはあのひとも誘いたい→リピーターが増える。等々)を生むことにつながります。ちなみに、リピーターを増やす最も確実な方法は ― パンフレットに1万円札を挟み込んでおくこと ― ともいわれていますが・・・(笑)。過去に共にお仕事をさせていただいた指揮者の井上道義氏からは“出演者自らブレイクスルーすることの意義”、同じく指揮者の飯森宣親氏からは“アーティストはサービスマンであれ”、師事したフラメンコ舞踊家の小島章司氏からは“全身全霊からの昇華”を活きた現場で学びました。コミナミピアノワークスでは先に申し上げたとおり、3方向からの観点で得た多くの経験と蓄積を駆使して、必ず演奏会の成功にお役に立てるものと思っています。さらに、その会の成功どころか、次なる演奏会への期待が否応なしに高まる演出・構成のアイデアについてもシェアさせていただけるかと思います。

最後に3人のレンガ職人の話をご紹介したいと思います。ある人が彼らに「何をしているんですか?」と尋ねました。1人目の職人は「レンガを積んでいるのさ」、2人目は「時給10ドル稼いでいるのさ」と、それぞれ答えました。でも、3人目の職人はこう答えたのです。「私ですか?世界一立派な教会を建てているんですよ」
僕は3人目の考え方が大好きです。

料金については演奏会の規模やご予算などの諸事情もおありかと思われますので、要ご相談とさせてください。

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